当協会のハラール認証対象分野
当協会では、「製品・原料」「屠畜」「レストラン・キッチン」「輸送」の4種類のハラール認証について、それぞれ認証基準に基づいて、監査を実施しています。当協会のハラール認証の対象分野、カテゴリーは以下の通りです。
JHAハラール認証のカテゴリー
分類
Cluste |
カテゴリー
Category |
サブカテゴリー
Subcategory |
製品・活動 例
Example of included activities |
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漁場 | A | 養殖 | AⅡ | 魚介類の養殖 | ✓魚介製品の生産のための魚類の養殖 ✓養殖、罠を仕掛けての採捕(漁場での解体を含む) ✓ファームパッキング(b)と保管を含む |
食品や飲料の製造 | C | 食品製造 | CⅠ | 腐敗しやすい動物性製品の加工 | ✓魚介類、肉類、卵、乳製品を含む動物性食品の製造 |
CⅡ | 腐敗しやすい植物性製品の加工 | ✓青果、フレッシュジュース、野菜、穀類、ナッツ類、豆類を含む植物性製品の製造 | |||
CⅢ | 腐敗しやすい動物性および植物性食品の加工(混合製品) | ✓ピザ、ラザニア、サンドイッチ、団子、即席食品等、動物性と植物性の混合製品の製造 | |||
CⅣ | 常温保存製品の加工 | ✓常温で保管・販売されるあらゆる原料から製造されたハラール食品、ビスケット、スナック菓子、オイル、飲料水、飲料、パスタ、小麦粉、砂糖、食塩等の食品製造 | |||
CⅤ | 屠畜
SMIICスタンダードはカテゴリーCⅠ |
✓屠畜場における屠畜、カット・処理・パッケージングを含む枝肉の製造 | |||
D | 動物飼料 | DⅠ | 飼料 | ✓単一及び混合の食品原料を使用する食用動物の飼料 | |
ケータリング | E | ケータリング | E | ケータリング | ✓即席又は持ち帰りの形態で消費する食事の調理、保管 |
小売り・輸送・倉庫 | G | 輸送・倉庫 | GⅠ | 生鮮食品や飼料の輸送と倉庫 | ✓生鮮食品や飼料の保管と輸送のための倉庫施設と配送車 ✓アソシエートパッキング(c)を含む |
GⅡ | 常温食品の輸送と倉庫 | ✓常温食品の保管と輸送のための倉庫施設と配送車 ✓アソシエートパッキング(c)を含む |
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その他 | I | 包装資材 | I | 食品の包装資材の製造 | ✓食品の包装資材の製造 |
化学・生化学 | K | 化学・生化学製品 | K | 化学・生化学製品の製造 | ✓微生物、食品・飼料の添加物、ビタミン、ミネラル、培地、酵素、加工助剤、サプリメント、殺虫剤、肥料、洗剤、繊維、皮革製品等 |
化粧品
SMIICスタンダードはカテゴリーLⅠ |
✓化粧品 | ||||
香料 | ✓香料 | ||||
医薬品 | ✓医薬品 | ||||
その他
SMIICスタンダードはカテゴリーLⅣ |
✓医療機器など | ||||
注b)ファームパッキングとは、製品の加工工程を伴わない農場や漁場でのパッキングを指します。 注c)アソシエートパッキングとは、製品の加工工程を伴わないパッキングや、元のパッケージングから変更がないパッキングを指します。 |
製品・原料のハラール認証
製品・原料のハラール認証は当協会のハラール認証の主要分野であり、現在70社ほどの企業が製品・原料のハラール認証を取得されています。うち約7割が大手の原料メーカーで、海外輸出においてハラール認証品であることを要求されることが多い、化学品原料・化粧品原料・食品添加物などでハラール認証を取得するケースが目立っています。また、海外で根強い人気がある日本食で使用する醤油、味噌、お茶などをはじめとする消費者商品でのハラール認証取得も継続的にあります。
一方で、ハラール認証を取得したものの、販売が継続できなかったり、受注に結びつかず残念ながら認証を継続できないケースもあります。当協会としては、時間や労力やコストをかけて認証を取得したにも関わらず、継続できないケースは本当に残念に思います。企業・当協会の双方がより効率的にハラール認証に取り組めるよう、まず最初に認証が本当に必要かどうか、以下のステップに従って十分検討した上でハラール認証取得に進んでいただくことをお勧めします。「ハラール認証を取得したら売れる」等、かつてメディアで言われたこともありましたが、ハラール認証品であれば何でも売れることはありません。ハラール認証取得をマーケティングの一環であると捉えることが必要です。
レストラン・キッチンのハラール認証
レストラン・キッチンを対象としたハラール認証として、当協会には以下の3種類の認証スキームがあります。それぞれ実情に応じてご検討ください。
- ハラールレストラン認証
食事は完全にハラールで、アルコール飲料の販売がない店舗向けの認証 - ムスリムフレンドリーレストラン認証
食事は完全にハラールで、アルコール飲料販売がある店舗向けの認証。上記ハラールレストラン認証との違いはアルコール飲料販売がある点になります。 - キッチン認証
ハラール専用のキッチンに対する認証で、主に業種としては仕出し弁当や機内食などが該当します。冷凍弁当やレトルトパウチなどはこれには該当しません。
これらの認証はいずれも施設、設備、食材、メニュー、ハラール管理システムなどが認証の対象になります。
《飲食店向けのハラール認証について》
当協会の飲食店向けハラール認証には、ハラールレストラン認証やムスリムフレンドリーレストラン認証があります。
一方で、認証ではなく「情報開示」つまり、使用する食材や調味料に関する情報を開示することで利用者に選択肢を与える方法があります。飲食店の場合、直接利用者(消費者)と対話して情報を伝えることができるため、利用者が食べる、食べないの判断ができるよう情報開示することで十分な場合があります。「情報開示」は、特に個人店など個々の顧客対応ができる店には有効な手段といえるでしょう。しかし、規模の大きな店舗やチェーン店の場合、個々の顧客へ必要な「情報開示」をすることが困難です。むしろ、ハラール性に関する情報を一目で理解できる内容を提示していれば簡単に情報を伝えることができ、この場合は、「ハラール認証」が有効だといえます。
また「ムスリムフレンドリー」という言葉は、いろいろな意味でつかわれる場合があり、注意が必要です。
一般的にムスリムが「ムスリムフレンドリー」と聞くと、食事に関しては「ハラール」であると理解をします。一方、日本では「メニューの一部だけハラール」とか「ムスリムのことを考えながら作りました」というような場合も「ムスリムフレンドリー」という言葉を使用するケースがあり、誤解を生む場合があります。
弊会のムスリムフレンドリーレストラン認証は、「食事はハラールのみ」としています。なぜなら、非ハラール肉とハラール肉の両方を取り扱う飲食店で、限られたスペースで隔離・分離してハラール性の担保を確保することは難しいと考えるからです。
弊会の飲食店に対する認証の目的は「利用者が安心して利用できること」であります。もちろん提供者側の利用しやすさも大切です。
また、利用者自身によって許容できるハラール性のありかたも十人十色ですので、利用者と提供者の双方が安心してサービスを受ける・提供する環境の整備が、持続可能なサービスの提供に繋がります。そのため、最大のリスクである「ハラール性を損ねる」ことがないことに重点を置く必要があります。
これが双方の共通の認識であると理解し、その一番良い形が「ハラールなものだけを提供する」環境を作ることである、と考えます。少々時間、プロセス、労力がかかりますがサービスの基本である「安心・安全」を確保することができます。
屠畜場のハラール認証
屠畜場のハラール認証とは、ハラールな動物を屠畜する屠畜場に対する認証で、ハラール認証がもっとも必要な分野です。昨今ハラール和牛の人気が世界中で高まり農産品の輸出においても上位に入っています。
ハラール認証対象は、牛、鶏、羊、など豚以外の動物で、ハラール屠畜専用の屠畜場である必要があります。ハラール屠畜認証は、屠畜後の工程やハラール管理システムは製品認証と同じですが、ムスリムの屠畜人やスーパバイザーが必要で、ハラール重要管理ポイントも独自のものになります。
- ムスリム人材確保
- 屠畜人
- スーパーバイザー
- ヘッドチェッカー
- チェッカー
- ハラール専用屠畜場
- パッキングを含む枝肉の製造
- ハラール管理システム
弊会のハラール屠畜認証は、マレーシア、インドネシア、シンガポール、UAEで有効なハラール認証と認められています。なお、肉製品の輸出に関しては、ハラール認証以外にも各国の取り決めがありますので、諸機関へお問い合わせください。
輸送・倉庫のハラール認証
ハラールサプライチェーンの中でハラール製品の輸送・倉庫認証は施設や設備以外は、それらを運用するためのハラール管理システムの適応が主な認証対象になります。ハラールサプライチェーンの中で製造メーカーがハラール性の担保がとれた製品を輸送し、荷受けし、倉庫内に一時保管し、顧客の商材をハラール性を損なうことなく輸送し出荷先・輸出先へ無事に送り届ける役割を担う業種であります。ハラール製品取り扱う間にハラール性を損なう可能性のあるリスクを全て取除き、徹底した管理方法にてハラール性の担保を確実にしていきます。
海外でもこの分野で認証取得ができる企業は少なく、国内はハラール製品の往来が少ないため、需要があるとは言えない業種の認証でありますが、先進的に顧客の選択肢のひとつとしてサービスを提供したいとの企業精神で取り組まれる企業様はおられます。