HOME 活動レポート 【活動報告】インドネシア H20 Conference 2024出席

【活動報告】インドネシア H20 Conference 2024出席

| 2024年10月17日更新 |

活動報告:インドネシア H20 Conference 2024出席

主催:インドネシア宗教省BPJPH

期間:2024/10/10

場所:Indonesia Convention Exhibition (ICE) BSD City

 

インドネシアBPJPH認定取得に至るまで

2024929日(日)インドネシア宗教省大臣が来日され、東京目黒区にあるインドネシア大使館にて、国内認証団体に対する認定書の授与式が行われた。そこで当会も無事にインドネシアBPJPHの認定証を授与された。ここに至るまでの経緯を簡単に記しておきたい。

 

当会は、2019年当時のインドネシアの認証機関であったMUIから承認を取得したが、その直後にインドネシアの認証機関がBPJPHへ移管され、同年からBPJPHへの申請受け付けが開始されることとなった。当会としては、インドネシア向けの認証を滞りなく継続するために、2019年の申請受付開始後すぐに申請を行ったが、法律改定に伴ったインドネシア国内の整備やMUIからの業務引継ぎに時間がかかり、その後コロナ禍もあり、BPJPHの海外認定作業は2023年に入りやっと動き出した。

2023年書類査察を開始するという通知が当会にありSi-halalというオンラインシステムに必要書類をアップロードし、書類査察は一旦完了した。その後も次のステップについて、なかなか連絡が来なかったのだが、20245月末になってやっと現地査察を実施すると通知を受けた。現地査察は4名の査察団が来日し、計4日間にわたって実施された。うち、3日間は当会事務所において認証マネジメントシステムや監査員インタビューなどを中心とした査察、1日間は認証企業様にご協力いただき模擬監査に同行しての査察となった。幸い指摘事項もさほど多くなく、対応可能な範囲内であったため、検査ラボに関する日本の特殊な事情を含む内容以外は難なく解決することができ、是正完了。晴れて認定を取得するに至った。2019年からいつでも査察を受け入れられる準備をすすめ、認定を待ち望んでいた当会としては、ようやく実際に認定書を手にすることができ、喜びひとしおであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[写真1]インドネシア大使館にて認定書授与式 左からYaqut Cholil Qoumasインドネシア宗教大臣、JMA遠藤会長、JHAレモン、MPJAアクマル氏、JITハールン氏、M.Aquil IrhamBPJPH所長、Heri Akhmadi駐日大使

そして、この後H20のイベント内で調印式を執り行う流れとなった。

 

H20 コンベンション 調印式

10月9日から11日の3日間、例年インドネシアで行われているハラールエキスポインドネシアに併催という形で、BPJPH主催のH20コンベンションがジャカルタで開催された。当会はメインイベントである1010日のハラール認証団体とBPJPH間における「相互承認」と題した調印式に出席した。この調印式は当会だけでなく世界中にハラール認証団体が待ち望んでいたイベントであった。

この日は、すでに認定書を取得している認証団体及び、まだ査察途中である団体も含んで、24か国52団体が調印を行った。日本からは当会を含めて新たに3団体が調印したことから、在インドネシア大使館やジェトロジャカルタからも応援に駆けつけてくださった。

 

 

 

 

 

[写真2]調印式の様子。BPJPH M.AIrham所長とレモン

 

調印式における記念撮影を終えると、各団体の出席者同士で「おめでとうございます!」「お疲れ様、今までお互いよく頑張ったね」など声を掛け合い互いに労をねぎらった。2019年から本当に長い道のりで今日に至っている。何度も何度も書類提出を要求され、要求事項が変化し、不明瞭でモヤモヤしながら過ごした長い時間がやっと一旦区切りがついたことに安堵した。ただ、まだまだ今後も課題は続くので気を抜いてもいられない。

 

コンベンション

調印式を終えた後の午前中のセッションでは、ハラール認証におけるブロックチェーンについて、倉庫・輸送、屠畜の分野におけるブロックチェーンシステムの適用やその仕組みについての発表があった。インドネシアでもBPJPHの認証において適応を開始しているとのこと。ただ、世界の多くの認証団体が取り扱う認証品は、オーストラリア、ニュージーランド、ブラジルなど畜産を多く取り扱う一部の国を除いて、加工度の高い原料や消費者商品が中心である。特に日本においては、化学製品が多いことからブロックチェーンを適応して有効に利用ができるためには1つの製品をとっても何十、何百もの原料においてそれぞれ適応が必要となる。この中の1つのサプライヤーが適応をしなければ意味はなさないことから、現実的には難しいと思われる。ハラール認証がいつかブロックチェーンで事足りる日が来るのかと一瞬期待もしたが、残念ながらそうは簡単にはいかないのが現実である。

 

 

 

 

 

[写真3]セッション1登壇者たち

午後からの部は、BPJPHの情報アップデートを行うとのことであった。

最大の変更点としては、今回の法令(「ハラール製品保証法(ハラール製品保証に関するインドネシア共和国法201433号)」)の適用そのものが最長202610月まで延期される可能性があること。これは最長であるため、半年間、1年間延期ということになる可能性もあるが、現在延期することを検討しており、具体的には法令改定における大臣署名待ちだそうだ。まだ署名がされるまでは確定とはならないが、法令に記載された適用予定日である20241017日今日現在も決定的な変更通知はきていない。

また、これまでも問題になっていた「ムスリムスーパバイザー必須」について。非ムスリムの国においてムスリム雇用を必須する、ということはヨーロッパの国々では逆差別にあたり、社会的に受け入れられない。また、日本のようなムスリム人口が比較的少ない国では、そもそも近隣にムスリムがいない、ということがあり難しい状況であったため、これを「ムスリムではない人でも各国の認証団体の指導下でその役とみなす」のような内容に変更する予定である、とのこと。ただし、これも大臣令であるため署名待ち状態。

 

3つ目は認証品におけるサンプリングについて。これまでも当会の認証では提出書類の一部として認証品の一部または全部における豚DNA検査とアルコール残存検査結果を提出要求してきが、これが今後は、現地監査時に監査員が選定したサンプルを採取し、BPJPH認定された指定のISO取得検査所へ提出し結果もモニタリングする、という要求が適応され、製品によって検査方法も指定しなければならない。例えば、豚DNA検査にはリアルタイムPCR検査を用いるなど。

 

 

 

 

[写真4]サンプリング方法指定についてのスライド

 

 

 

 

[写真5]サンプリングに関するインドネシアの基準紹介

 

質疑応答も行われ、以下のようなやりとりがあった。

(質問)「BPJPHの認証書には有効期限がない、とのことであるが、どのように認証のクオリティーを保つのか」

(回答)「定期的なサーベイランスを行う。」

現在インドネシア国内だけでBPJPH3万件以上の企業を認証したとのことであるが、これの各証書を毎年更新など考えただけでも気が遠くなる作業であるため、これを回避するために証書に変更は加えないが中身をシステム上でアップデートし、頻度はわからないが定期的なサーベイランス監査を実施することで認証のクオリティーを保つということだろうと想像する。

 

(質問)「ムスリム技術監査員が必須とのことであるが、先ほどのスーパバイザーの件と同じく、非イスラム国家である日本ではムスリムで学歴・資格において有能な監査員を得ることが大変困難である。特に日本語ができない監査員は正確な監査をする能力に欠けるため監査の質に影響をおよぼす。監査員は情報を収集することを正確に適格にできれば問題ないはずであることからムスリムではない監査員でもよいのでは?スーパバイザーの件同様ムスリムではない監査員を認めていただけないか」

(回答)「これまではそれを検討したことがない」

これについては、検討していただけるよう、今後は我々からもアクションをしなければならないと考えている。

 

夜はガラディナーにて洗練されたインドネシア料理がふるまわれ、盛大なインドネシアの伝統的な舞踊や、竹楽器を用いた参加者も巻き込んでのインタラクティブな演奏会が行われ、木琴のような涼しく心地良い音色が会場を包んだ。

 

 

 

 

 

[写真6]演奏の指導をする先生と、演奏をする参加者たちの様子

 

おわりに

今回、当会がインドネシアBPJPHからの海外ハラール認証団体の認定を受け、調印式に参加させていただいたが、これまでご協力いただいた認証企業様や国内外の認証団体様、並びに農林水産省、在インドネシア日本大使館、ジェトロクアラルンプールなど各機関の方々にもサポート頂いた賜物であることから、改めてお礼と感謝を申し上げたい。

一旦区切りはついたものの、まだ幕を開けたにすぎず、これからが認定維持のために係る作業や監査の内容の変更を順次実施していかなければならない。インドネシアにおいては、要求事項に対する正式な英語翻訳版がないことや、今回のように要求が急に変更されることもしばしばあるため注視が必要。今後も他団体や行政とも連携し、情報収集はじめハラール認証団体としての環境整備に最善を尽くしたい次第である。

報告以上、

レモン史視 2024/10/17

PAGE TOP